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『コップクラフト』
評価:★★★★☆
読み終わった直後の感想は「あんまり大したことなかったな」というものでした。起承転結の形はしっかりしているものの、コンパクトにまとまりすぎていてあっさりと終わりすぎた感じでした。お約束はしっかりと守られていて安定感は抜群ですが、意外性や大掛かりな仕掛けは全くなく、期待しすぎると肩透かしを喰らうでしょう。
しかしここで、あとがきにて「海外刑事ドラマを見ている気分で楽しんで頂けたら」という記述があったことを思い出すと「なるほど」と思わずにはいられませんでした。『刑事ナッシュ・ブリッジス』とかそんな感じです。これが大作映画のシナリオだったら平凡な印象ですが、海外ドラマの第一回だとすればまさにそのもの、といったところです。違うところがあるとすれば、渋くてクールな刑事モノにボーイミーツガール定番のおんなのこ要素と剣と魔法のファンタジー要素が加えられているところでしょうか。根っからの刑事ドラマ好きにはあどけなくらぶらぶしているところが邪魔だと思うかもしれませんが、いまのところラノベとしては甘甘というほどではありません。ファンタジー要素も『スターゲイト』かなにかだと思えば違和感はないと思います。というか『スターゲイト』そのものという感じですね。
『コップクラフト』は続編も刊行される予定があるようで、このノリで続けてくれたらそれなりに面白いだろうなと思います。一方でライターに力があることは分かっているので、たまには大作映画っぽい派手なシナリオもあったらよいな、と期待しています。
最後に、村田蓮爾の絵はすばらしいと思います。
コップクラフト (ガガガ文庫) (2009/11/18) 賀東 招二 商品詳細を見る |